​聴 覚

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わたしたちは、日々、何気なく、様々な音を聴いています。小鳥のさえずり、

愛犬の鳴き声、家族との会話、テレビからの音声、お店のスピーカーから流れる音楽、などなど。
音や聴覚は、わたしたちの豊かで幸せな生活に欠かすことができません。

 

現在、我が国では、人口の1割もの方々が難聴になっておられます。
これは、糖尿病の患者数に匹敵します。難聴の数は、超高齢化社会を迎える中、
ますます増加していきます。また、難聴は、認知症の非常に強いリスクである
ことも医学的に示されていますし
(Livingston G. et al., Lancet, 390:2673-2734, 2017)、
うつ病をはじめとする脳神経疾患にも深く関わっていると指摘されています。
そして、難聴の未治療による我が国の経済損失は、約6兆円にものぼるとも試算されています。

 

音は、外耳道(耳の穴)を通じて、鼓膜(こまく)を震わせ、それに連なる耳小骨という小さなつの骨に伝わります。
そして、内耳蝸牛(かぎゅう)と呼ばれる臓器を振動させます。
その結果、内耳蝸牛に備わった感覚細胞により、音の機械的な刺激は、ケーブルで喩えられる神経が運搬可能な電位信号に変換され、コンピューターである脳へと伝えられます。
難聴の原因として圧倒的に多いのは、この内耳蝸牛の障害です。

 

難聴は、世界でも注目されてきています。折しも2020年3月3日には、

世界保健機関WHOが、「難聴にあなたを制限させてはいけない。人生のため、“聴こえ”を大切に:Hearing for lifeとの提言を全世界に向けて発信しました。ここでは、高齢者のみならず、青少年の難聴にも警鐘を鳴らしています。
いわゆる、大音量の音楽を長時間聴くことが契機になる「若者のスマホ難聴」などは大きな問題になりつつあります。また、聴覚は、言語習得や会話に重要な役割を担っており、記憶、学習、感情、情動など、多彩な脳の働きを支えています。

このことは、発達障害の患者さまに聴覚過敏がしばしば認められることからも裏付けられるかもしれません。

 

一方、Society 5.0が展開していく中で、工学や情報学に基づく産業界でも、
聴覚は鍵となっています。

ここでは、Virtual Reality(VR)からSubstitutional Reality(SR)までの
革新的なサイバー技術の開発、Internet of Things(IoT)や
Internet of Sensors(IoS)の発達、様々な社会インフラの構築が挙げられます。
聴覚をいかにうまく制御するかが、大きな課題の一つになっています。
まさに、
便利で安全な世の中の実現に、聴覚の理解は不可欠です。

 

以上より、我が国では、難聴および聴覚に対する早急な対応や研究が、
今、まさに求められています。 

ここでは、脳や他の感覚との相互作用、そして全身への影響
明らかにすることも必要です。そのためには、既存の医科学研究に
とらわれることなく、広く工学、理学、情報学、心理学、文学、社会学など、

幅広い分野の研究者がお互いの垣根を取り払って議論して

我が国発の治療薬や技術を創り、企業の方々とも協力し合って逸早く

社会実装していく必要があります。
本WGは、夢と実りのある未来を迎えるため、難聴および聴覚を基軸とした活動を進めていきます。

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